貞之助は今日の日曜に、先月花を見に行ったばかりの京都へ、もう一度幸子を誘って新緑を見に行くつもりであったが、幸子が今朝から気分が悪くて何となく体が大儀だと云うので、出かけることを見合せて、午後から庭の草むしりに熱中していた。
いったい此処の庭の芝生は、もとこの家屋敷を譲り受けた時分には生えていなかったのであるが、此処は芝をお植えになっても着きませんよと云う前の持ち主の忠告を押し切って、強いて植えさせたのは貞之助であった。
それが、丹精のかいがあって、どうやら今ではものになって来たのだけれども、矢張余所のと比べると発育が悪く、緑の色の出かたが一般のよりは遅かった。