で、貞之助は自分が首唱者であった責任上、人一倍芝生の手入れをするのであるが、育ちの悪い原因の一つは、芽の出始める春先に雀がやって来て傍からその芽を摘んでしまうせいでもあることを発見して以来、毎年早春の季節になると雀を防ぐことに努め、見つけ次第小石を投げて追い散らすのを仕事のようにして、家族の者たちにもやかましく云うので、ほら又兄さんの石投げが始まる時候が来たと、義妹たちはよく云い云いした。
そして、陽気が暖かになると、折々今日のような風に、海水帽にもんぺを穿いて、芝の間に繁殖するぺんぺん草や車前を取ったり、芝刈器で、ジョキジョキ芝を刈ったりした。
「あんた、蜂、蜂、大きな蜂やわ」