幸子はその蔭の中にある、皮つきの白樺の丸太で作った椅子に掛けているのであったが、蜂は彼女の肩をかすめて、支那焼の墩の上に据えられた芍薬の鉢の周りを二三度旋回して、ぶうんと呻りながら、紅白の平戸が咲いている方へ飛んで行った。
夫は草むしりに釣られてだんだんと境界の金網沿いの、大明竹や樫の葉の生い繁った薄暗い方へもぐって行ってしまったので、彼女のところからは、ひとかたまりの平戸の花越しに、大きな海水帽の縁だけしか見えない。
「蜂よりか蚊の方がえらいねん。
幸子はその蔭の中にある、皮つきの白樺の丸太で作った椅子に掛けているのであったが、蜂は彼女の肩をかすめて、支那焼の墩の上に据えられた芍薬の鉢の周りを二三度旋回して、ぶうんと呻りながら、紅白の平戸が咲いている方へ飛んで行った。
夫は草むしりに釣られてだんだんと境界の金網沿いの、大明竹や樫の葉の生い繁った薄暗い方へもぐって行ってしまったので、彼女のところからは、ひとかたまりの平戸の花越しに、大きな海水帽の縁だけしか見えない。
「蜂よりか蚊の方がえらいねん。