幸子はその明くる日から病室で臥たり起きたりして暮したが、あまり苦しくもない代りに、そうはかばかしく良くなりもしなかった。
一つには妙に蒸し暑い、降るのでも晴れるのでもない入梅前の天候が鬱陶しく、それでなくても体の持って行き場のないような、いやな陽気がつづくせいでもあるらしかったが、二三日風呂に這入らないので、汗臭くなった寝間着を着換えて、蒸しタオルにアルコールを滴らしたのを持って来させて、お春に背中をこすらせていると、そこへ悦子が上って来て、
「お母ちゃん、その床の間に活けてあるのん、何の花やのん」