そう云う姉が現在住んでいる上本町の家と云うのは、これも純大阪式の、高い塀の門を潜ると櫺子格子の表つきの一構えがあって、玄関の土間から裏口まで通り庭が突き抜けてい、わずかに中前栽の鈍い明りがさしている昼も薄暗い室内に、つやつやと拭き込んだ栂の柱が底光りをしていようと云う、古風な作りであった。
幸子たちはこの家がいつから其処に建てられているのかを知らない。
恐らく一二代前の先祖が建てて、別宅や隠居所に使ったり、分家や別家の家族に貸したりしていたらしいのであるが、父の晩年に、それまでは船場の店の奥に住んでいた彼女達が、住宅と店舗とを別にする時代の流行を追って、その家に引き移るようになった。