「音やん」と云うのは金井音吉と云って、父が昔浜寺の別荘で使っていた爺やで、今では忰が嫁を貰って南海の高嶋屋に勤めてい、気楽な身の上になっているのであるが、その後も始終出入りをしていた関係から、彼の一族に跡を託すことになったのであろう。
その、二度目の電話のあった明くる日の午後に幸子は出かけたが、行ってみると、中前栽の向うに見える蔵の戸前が開いているので、
「姉ちゃん」
「音やん」と云うのは金井音吉と云って、父が昔浜寺の別荘で使っていた爺やで、今では忰が嫁を貰って南海の高嶋屋に勤めてい、気楽な身の上になっているのであるが、その後も始終出入りをしていた関係から、彼の一族に跡を託すことになったのであろう。
その、二度目の電話のあった明くる日の午後に幸子は出かけたが、行ってみると、中前栽の向うに見える蔵の戸前が開いているので、
「姉ちゃん」