と、観音開きの所から声をかけながら這入って行くと、姉は二階で、ただでさえ入梅のじめじめする日に、黴臭い匂の中にうずくまりながら、姐さん被りをして一生懸命片附け物に熱中していた。
姉の前後左右には、春慶塗胡桃脚膳二十人前、吸物椀二十人前、などと記した古ぼけた箱が五つ六つ積み重ねてある傍に、長持の蓋が開けてあって、中に一杯こまこました小箱の詰まっているのが見えていた。
姉は丹念にそれらの箱の真田紐を解いて、志野焼の菓子器とか、九谷の徳利とか、一つ一つ調べては元通りにして、持って行く物、置いて行く物、処分してしまう物、と云う風に分けているのであるが、