雪子の話だと、姉が彼女を呼び寄せたのは、義兄の名古屋の実家まで夫婦で暇乞いに行くことになったので、彼女に留守を頼むためなのであったが、夫婦は雪子が行った翌日の土曜の午後に立ち、日曜の夜おそく帰って来た。
ところで、それから今日でもう五六日になるのだが、その間姉は何をしているかと云うと、毎日机に向ってお習字をしている。
何のためのお習字かと云うと、名古屋で辰雄の実家を始め親戚廻りをして、方々でもてなしに与ったについて、その家々へ礼状をしたためなければならないのであるが、それが姉には大仕事なのである。