幸子は雪子を可哀そうに思う一方に、ややともすると自分が雪子を家庭教師代りにしていると云う批難があるのに、反抗する気分も強かった。
本家の姉が大勢の子供をどうにか手一つで育てて行っているのに、分家の妹はたった一人の女の児の面倒をさえ見られないで、人手を借りている、と云う風に世間が取っているとすれば、―――雪子までが幾らかそんな風に思い、多少でも恩に着せる気持がもしあるとすれば、―――彼女は自分の内部にある母としての誇が傷つけられるように感じた。
なるほど、今のところ雪子は役に立っていてくれるけれども、雪子がいないからと云って悦子の躾に困るような自分ではない積りであるし、早晩嫁に行く雪子であってみれば、そう云う人を当てにしている訳もない。