蠅を恐れることは非常で、食物に止った場合は勿論、近くへ飛んで来たのを見ただけでも、どうも止ったらしいと云って食べなかったり、確かに今の蠅は止まらなかっただろうかと、周囲の者に執拗く尋ねたりする。
そして、箸から落したものは、洗いたてのテーブルクロースの上に落ちたのでも、汚がって食べない。
或る時幸子は、悦子を連れて水道路へ散歩に出て、路端に蛆の沸いた鼠の屍骸が転がっているのを見たことがあったが、その傍を通り過ぎて凡そ一二丁も行った時分に、
蠅を恐れることは非常で、食物に止った場合は勿論、近くへ飛んで来たのを見ただけでも、どうも止ったらしいと云って食べなかったり、確かに今の蠅は止まらなかっただろうかと、周囲の者に執拗く尋ねたりする。
そして、箸から落したものは、洗いたてのテーブルクロースの上に落ちたのでも、汚がって食べない。
或る時幸子は、悦子を連れて水道路へ散歩に出て、路端に蛆の沸いた鼠の屍骸が転がっているのを見たことがあったが、その傍を通り過ぎて凡そ一二丁も行った時分に、