しかし此処でも野村の家へ行く迄には、足場の悪い、細い急な坂路を二三十間も上るのであった。
野村は非常な燥ぎ方で、子供のように喜んでしまって、海の方が見える座敷の雨戸を大急ぎで開けさせ、書斎を見て戴きましょうと云って、ついでに家じゅうの部屋を台所まで案内して廻った。
それが平屋建ての、六間ばかりしかない粗末な借家なのであったが、野村は仏壇のある六畳の茶の間へ引っ張って行って先妻と二人の子供の写真が飾ってある光景までも見せたりした。
しかし此処でも野村の家へ行く迄には、足場の悪い、細い急な坂路を二三十間も上るのであった。
野村は非常な燥ぎ方で、子供のように喜んでしまって、海の方が見える座敷の雨戸を大急ぎで開けさせ、書斎を見て戴きましょうと云って、ついでに家じゅうの部屋を台所まで案内して廻った。
それが平屋建ての、六間ばかりしかない粗末な借家なのであったが、野村は仏壇のある六畳の茶の間へ引っ張って行って先妻と二人の子供の写真が飾ってある光景までも見せたりした。