「―――見てて御覧、今に旦那さん持ったかて、きっと自分の云うなりにしてしまうよってに」
京都では貞之助が、花見の雑沓の間にあっても、赤児を抱いた人に行き遇わす毎に幸子がはっと眼を潤ませるのに当惑したが、そんな訳なので今年は夫婦が後に残るようなこともせず、日曜の晩に皆一緒に帰って来た。
そして、それから二三日過ぎて、四月の中旬に雪子は東京へ立って行った。
「―――見てて御覧、今に旦那さん持ったかて、きっと自分の云うなりにしてしまうよってに」
京都では貞之助が、花見の雑沓の間にあっても、赤児を抱いた人に行き遇わす毎に幸子がはっと眼を潤ませるのに当惑したが、そんな訳なので今年は夫婦が後に残るようなこともせず、日曜の晩に皆一緒に帰って来た。
そして、それから二三日過ぎて、四月の中旬に雪子は東京へ立って行った。