私は夫の註文に応ずるためにギリギリの瀬戸際まで試煉に堪えて来たけれども、これからは自信が持てなくなっている。
………一方私は、いつも夢とも現ともつかない状態で睡っている時に見ることのある、あの裸体の木村さんを、………木村さんかと思うと夫であったり、夫かと思うと木村さんであったりするあの裸体を、………一度夫に邪魔されない時に、この眼で見届けてみたいという好奇心もないことはなかった。
私はいつの間にか急激に酔いが廻って来たのを覚えて便所へ隠れたが、「ママ、今日はお風呂が沸いているのよ、マダムは上りはったからママはいらはったらどう」と、便所の外から敏子が云った。