婆やに聞くと、今日も指壓の先生が来て二時から四時半ぐらいまで、昨日より三十分以上も長く治療していた。
肩がこんなにひどく凝るのは血壓の高い証拠であるが、医者の薬なんぞ利きはしない、どんなに偉い大学の先生にかかってもそう簡単に直るはずはない、それより私にお任せなさい、請け合って直して上げる、私は指壓ばかりでなく、鍼や灸も施術する、まず指壓をして利かなかったら鍼をする、眩暈は一日で効験が現われる、などとあの男は云ったという。
血壓が高いといっても、神経に病んで頻繁に測るのはよろしくない、気にすれば血壓はいくらでも上る、二百や二百四五十あっても不養生をして平気で生きている人が何人もいる、むやみに気にしない方がよい、酒や煙草も少しぐらいは差支えない、あなたの高血壓は決して悪性のものではないから、大丈夫良くなりますと云ったとやらで、夫はすっかりあの男が気に入ってしまい、これから当分毎日来てくれ、もう医者は止める、と云っていたという。