彼の寝ている時の姿勢は、大体において仰向けであったが、そのために一層、あの「眼鏡のない顔」を見せられる場合が多かった)「ようであった」というのは、病室ではスタンドのシェードに布を被せて病人に光線が直射せぬようにしていたので、蔭のところに臥ている病人の顔が、急にはハッキリ見定めがたかったからである。
私は椅子に腰かけて一と息つき、薄暗いところにいる病人を見据えたのであったが、何か異常に静か過ぎる感じがしたので、シェードの布を上げて病人の顔に露骨な光線があたるようにした。
と、病人の眼は半眼に見開かれて、斜めに、寝台の裾の方の天井に注がれたまま、凝然と動かなくなっていた。