一度罹ってもそれきり罹らない人もあり、二度罹ってもまた再起する人もあり、三度も四度も罹りながらなお天寿を保っている人も、しばしば見受けるようになった。
お宅の御主人は学者の方に似合わず、摂生に関しては無頓着なところがあり、ややともすると医師の忠告をお用いにならない風があったので、再発の恐れが全くないとは云えなかったけれども、こんなに早くそれが来るとは思わなかった。
まだ六十歳には達しておられないことであるし、ここでいったん、徐々ながらも健康を回復され、今後数年、巧く行ければ十数年は活動をおつづけになるであろうと考えていたのに、かような結果になったのは意外である。