私は胸がムカムカするたびに、夫に対しても、亡くなった私の父母に対しても、そういう心持を抱く自分自身を浅ましいとも、申しわけがないとも感じ、そんな心持が起れば起るほど、なおさらそれに反抗して彼を愛するように努めたし、また愛し得ていた。
なぜかというのに、生れつき体質的に淫蕩であった私は、どうでもこうでもそうするよりほかに生き方はなかったからである。
当時の私が、夫に対して何かの不満を持っていたとすれば、それは夫が私の旺盛な慾求に十分な満足を与えてくれないという点にあったが、それでも私は、彼の体力の乏しさを咎めるよりは、自分の過度な淫慾を恥じる気持の方が強かった。