一月二十八日に、始めて人事不省になった時の心理状態を云えば、木村に対する自分の気持が夫のためのものであるのか、自分自身のためのものであるのか、その辺の境界があの晩あたりから自分にも分らなくなって来たので、その苦しさをごまかそうとしていたのであった。
あの晩から、二十九日、三十日の朝にかけて、私はずっと寝通していた。
「彼女ノ性質カラ推シテ、果シテホントウニ睡ッテイタノカ寝タフリヲシテイタノカ、ソノ点ハ疑ワシイ」と夫が書いているあの二日間、私は決して「寝タフリヲシテイタ」のではないが、そうかといって完全に意識を失いつづけていたとは云いがたい。