中は真っ暗で、たった今人の足音がしたように思えたのに、その辺には誰もいるらしくもなく、たゞ夥しい空薫の香が局のうちに一杯に満ちていた。
平中は闇の中を手さぐりで一歩々々進みながら、かの人の閨とおぼしいあたりへ漸く這い寄ることが出来たが、こゝらであろうと見当を付けてまさぐると、衣を引き被いで横に長く臥している姿が手に触った。
ほっそりした肩つき、可愛らしい頭の恰好、まさしくかの人に相違ない。
中は真っ暗で、たった今人の足音がしたように思えたのに、その辺には誰もいるらしくもなく、たゞ夥しい空薫の香が局のうちに一杯に満ちていた。
平中は闇の中を手さぐりで一歩々々進みながら、かの人の閨とおぼしいあたりへ漸く這い寄ることが出来たが、こゝらであろうと見当を付けてまさぐると、衣を引き被いで横に長く臥している姿が手に触った。
ほっそりした肩つき、可愛らしい頭の恰好、まさしくかの人に相違ない。