並々ならずひねくれている女の性質から推して、とても戻って来る筈がないことは分っていながら、なお平中は未練がましく襖の際に耳を澄まして隣室のけはいを窺ったりした。
そしてとう/\寝床のところへ引返して来たが、脱ぎ捨てゝある自分の装束を直ぐには取って着ようともせず、愚かなことであると知りながら、女の衣と枕とが置いてあるのを抱いてみたり、撫でゝみたりして、やがてその枕に我が顔を載せ、その衣を我が身に纏うて、長い間打ち伏していた。
………まゝよ、夜が明けたって構うものか、いつ迄もこうしていてやれ、人に見られたら見られた時のことだ。