………わたしには此の人さえあれば………」
そう云って老人は又自分の顔を妻の顔から遠ざけながら、妻の額の上にかゝる髪の毛を掻きのけ、その目鼻だちへ燈火のあかりがほんのり当るようにした。
こう云う時、いつも北の方は老人の節くれだった歪んだ指がわなゝきながら髪をいじくったり頬をさすったりするのを感じつゝ、おとなしく老人のするまゝになって眼を閉じているのである。
………わたしには此の人さえあれば………」
そう云って老人は又自分の顔を妻の顔から遠ざけながら、妻の額の上にかゝる髪の毛を掻きのけ、その目鼻だちへ燈火のあかりがほんのり当るようにした。
こう云う時、いつも北の方は老人の節くれだった歪んだ指がわなゝきながら髪をいじくったり頬をさすったりするのを感じつゝ、おとなしく老人のするまゝになって眼を閉じているのである。