春とは云ってもまだ冬の感じの、うすら寒い宵であるのに、此処ばかりは陽気に花やいで、笑い声と歌声と歓語の声が沸き返り、人々は皆上衣の襟を外したり、片袖を脱いで下着を出したり、行儀作法を打ち忘れて騒いでいた。
その四
主人の妻、大納言の北の方はこう云う座敷の有様を、御簾のうちにいてさっきから隙見していた。
春とは云ってもまだ冬の感じの、うすら寒い宵であるのに、此処ばかりは陽気に花やいで、笑い声と歌声と歓語の声が沸き返り、人々は皆上衣の襟を外したり、片袖を脱いで下着を出したり、行儀作法を打ち忘れて騒いでいた。
その四
主人の妻、大納言の北の方はこう云う座敷の有様を、御簾のうちにいてさっきから隙見していた。