その五
国経は、北の方を乗せた時平の車が供の人数を従えて去って行くのを見送ったまでは、幾分か意識がはっきりしていたけれども、車の影が見えなくなると、俄かに緊張が弛んだせいか、内攻していた酔いが発して、勾欄のもとにくた/\とくずおれてしまった。
そしてそのまゝ簀子の板敷に倒れ伏して寝入りかけたのを、女房たちが扶け起して寝所へ連れて行き、装束を脱がしたり、床に就かしたり、枕をあてがったりしたのであったが、当人は一切前後不覚で、それきりぐっすりと一と息に眠った。
その五
国経は、北の方を乗せた時平の車が供の人数を従えて去って行くのを見送ったまでは、幾分か意識がはっきりしていたけれども、車の影が見えなくなると、俄かに緊張が弛んだせいか、内攻していた酔いが発して、勾欄のもとにくた/\とくずおれてしまった。
そしてそのまゝ簀子の板敷に倒れ伏して寝入りかけたのを、女房たちが扶け起して寝所へ連れて行き、装束を脱がしたり、床に就かしたり、枕をあてがったりしたのであったが、当人は一切前後不覚で、それきりぐっすりと一と息に眠った。