と、国経は次の間に控えている筈の老女を呼んだ。
これはむかし北の方の乳人をしたことのある、四十あまりになる女で、嘗て讃岐介の妻になり任国へ下って暮すうちに、夫に死なれたので北の方の縁を頼って来、こゝ数年来大納言家に奉公をしているのであるが、大納言にすれば年の若い北の方を娘のように思うところから、どうかした折には此の女房を娘の母親のように思い、夫婦間のことは勿論、家事萬端の相談をしたりするのであった。
「もうお眼ざめでいらっしゃいますか」
と、国経は次の間に控えている筈の老女を呼んだ。
これはむかし北の方の乳人をしたことのある、四十あまりになる女で、嘗て讃岐介の妻になり任国へ下って暮すうちに、夫に死なれたので北の方の縁を頼って来、こゝ数年来大納言家に奉公をしているのであるが、大納言にすれば年の若い北の方を娘のように思うところから、どうかした折には此の女房を娘の母親のように思い、夫婦間のことは勿論、家事萬端の相談をしたりするのであった。
「もうお眼ざめでいらっしゃいますか」