妻を奪われた国経が、恋慕と絶望に苛まれつゝその後なお三年半の歳月を生きた間のことは、後段滋幹のくだりに於いてやゝ詳細に触れる折があろう。
今は暫く筆を転じて、あの夜あの車の中へ「物をこそ」の歌を投げ入れた平中の方へ叙述を移そう。
平中も亦、国経ほどではなかったにしても、やゝそれに似た、或る後味のほろ苦いものを嘗めさせられたのであった。
妻を奪われた国経が、恋慕と絶望に苛まれつゝその後なお三年半の歳月を生きた間のことは、後段滋幹のくだりに於いてやゝ詳細に触れる折があろう。
今は暫く筆を転じて、あの夜あの車の中へ「物をこそ」の歌を投げ入れた平中の方へ叙述を移そう。
平中も亦、国経ほどではなかったにしても、やゝそれに似た、或る後味のほろ苦いものを嘗めさせられたのであった。