さて平中は、何とかして侍従の君のアラを捜し出してやりたい、いくらあの女が非の打ちどころのない美婦人であるからと云って、結局は普通の人間に過ぎないのだと云う證拠を見たら、これほどに迷い込んだ夢もさめて、愛憎を盡かすことが出来るであろう、と、そう思った末に考えついたのは、あのようなみめうるわしい女であっても、その体から排泄するものは、われ/\と同じ汚物であろう、ついては何とかしてあの女のお虎子を盗み出し、中にしてあるものを見届けてやりたい、そうしたら己も、あんな顔をしてこんなむさい物を出すかと思って、一遍に厭気がさすであろう、と云うことであった。
ついでながら、筆者はその時分のお虎子がどんなものであったかを知らない。
今昔にはたゞ「筥」と云ってあるが、宇治拾遺には「かはご」とあるので、皮で造った筥が普通だったのであろうか。