滋幹の記憶する限りでは、乳人の衛門が滋幹のことも父のことも、何くれとなく面倒を見てくれていた。
どうかすると彼女は、頑是ない滋幹をたしなめるのと同じ口調で父をたしなめたりしたが、彼女が最もやかましく云ったのは父の飲酒のことであった。
「お年を召して、外には何もお楽しみがおありにならないのでございますから、少しはお宜しゅうございますけれども、………」
滋幹の記憶する限りでは、乳人の衛門が滋幹のことも父のことも、何くれとなく面倒を見てくれていた。
どうかすると彼女は、頑是ない滋幹をたしなめるのと同じ口調で父をたしなめたりしたが、彼女が最もやかましく云ったのは父の飲酒のことであった。
「お年を召して、外には何もお楽しみがおありにならないのでございますから、少しはお宜しゅうございますけれども、………」