父は乳人に諫められると、その時は素直に詫びるのであるが、その日のうちに直ぐもう正体もなく酔いしれると云う有様で、詩を吟じたり、泣き喚いたりするくらいはまだしも、夜中にふら/\と何処かへ出て行って、二三日も帰って来ないことがしば/\だったので、
「何処へおいでになったのでしょう」
と、乳人や女房たちが額を鳩めて相談しながら溜息をついたり、それとなく人を出して捜索させたりしていることも珍しくなかった。
父は乳人に諫められると、その時は素直に詫びるのであるが、その日のうちに直ぐもう正体もなく酔いしれると云う有様で、詩を吟じたり、泣き喚いたりするくらいはまだしも、夜中にふら/\と何処かへ出て行って、二三日も帰って来ないことがしば/\だったので、
「何処へおいでになったのでしょう」
と、乳人や女房たちが額を鳩めて相談しながら溜息をついたり、それとなく人を出して捜索させたりしていることも珍しくなかった。