若い女のものであることは、部分的に面影を残している四肢の肉づきや肌の色合で分ったが、長い髪の毛は皮膚ぐるみ鬘のように頭蓋から脱落し、顔は押し潰されたとも膨れ上ったとも見える一塊の肉のかたまりになり、腹部からは内臓が流れ出して、一面に蛆がうごめいていた。
晝を欺く光の下でそう云うものを見た凄じさは、凡そ想像に難くないが、滋幹は恐さに顔を背けることも、身動きすることも、まして声を発することも出来ず、その光景に縛りつけられたようになって立っていた。
が、父はと見ると、しずかにその屍骸に近寄って、まず恭しく礼拝してから、傍に置いてある莚の上にすわるのであった。