その時月はひとしお研ぎすまされたように冴え、四辺の寂寞は前より一層深まっていた。
風がおり/\かすかに渡って、すゝきがざわ/\する外には、虫の音が際立ってひゞくばかりであった。
そう云う中でひとり影の如く孤坐している父を見ることは、何か奇怪な夢の世界に引き入れられた感じであったが、でもあたりには鼻を衝く屍臭が瀰漫していたので、そのために滋幹は否応なしに現実の世界へ呼び戻された。
その時月はひとしお研ぎすまされたように冴え、四辺の寂寞は前より一層深まっていた。
風がおり/\かすかに渡って、すゝきがざわ/\する外には、虫の音が際立ってひゞくばかりであった。
そう云う中でひとり影の如く孤坐している父を見ることは、何か奇怪な夢の世界に引き入れられた感じであったが、でもあたりには鼻を衝く屍臭が瀰漫していたので、そのために滋幹は否応なしに現実の世界へ呼び戻された。