風がおり/\かすかに渡って、すゝきがざわ/\する外には、虫の音が際立ってひゞくばかりであった。
そう云う中でひとり影の如く孤坐している父を見ることは、何か奇怪な夢の世界に引き入れられた感じであったが、でもあたりには鼻を衝く屍臭が瀰漫していたので、そのために滋幹は否応なしに現実の世界へ呼び戻された。
此の、滋幹の父が女の屍骸を見た場所と云うのは、何処のことか明かでないが、蓋しその頃の京都の街には、こう云う風な屍骸の捨て場が方々にあったのであろう。
風がおり/\かすかに渡って、すゝきがざわ/\する外には、虫の音が際立ってひゞくばかりであった。
そう云う中でひとり影の如く孤坐している父を見ることは、何か奇怪な夢の世界に引き入れられた感じであったが、でもあたりには鼻を衝く屍臭が瀰漫していたので、そのために滋幹は否応なしに現実の世界へ呼び戻された。
此の、滋幹の父が女の屍骸を見た場所と云うのは、何処のことか明かでないが、蓋しその頃の京都の街には、こう云う風な屍骸の捨て場が方々にあったのであろう。