父がその屍体と相対して冥想に耽っていた間、滋幹はとある塚のうしろに蹲踞って息を詰めていたのであったが、中天にあった月がやゝ西に傾き、彼が身を隠していた一と束の卒塔婆の影が地上に長く横わるようになった頃に、父は漸く立ち上って帰路に着いた。
滋幹は又、来た時と同じ路を、跡を追って行ったのであるが、彼が思いがけなく父から声をかけられたのは、さっきの小川の橋を渡って、すゝき原へさしかゝった時であった。
「和子、………和子は今夜、わしが彼処で何をしていたと思う?
父がその屍体と相対して冥想に耽っていた間、滋幹はとある塚のうしろに蹲踞って息を詰めていたのであったが、中天にあった月がやゝ西に傾き、彼が身を隠していた一と束の卒塔婆の影が地上に長く横わるようになった頃に、父は漸く立ち上って帰路に着いた。
滋幹は又、来た時と同じ路を、跡を追って行ったのであるが、彼が思いがけなく父から声をかけられたのは、さっきの小川の橋を渡って、すゝき原へさしかゝった時であった。
「和子、………和子は今夜、わしが彼処で何をしていたと思う?