それを知った上人は、多分夜な/\坂本へでも通うのであろうと思って、内心その男を甚しく憎んだ。
彼が朝帰って来る時の様子を見ると、何となく打ち沈んでいて、人と顔を合わすのを厭う風があり、いつも涙ぐんでいるので、大方通う所の女が心のまゝにならないのであろう、きっとそうに違いないと、上人を始め皆がそれにきめていた。
然るに、或る時上人が使を遣ってその男の跡をつけさせると、男は西坂本(江州の坂本ではなく、比叡山の西側の山麓、即ち現在の京都市左京区一乗寺辺)を下って蓮台野へ行くのであった。
それを知った上人は、多分夜な/\坂本へでも通うのであろうと思って、内心その男を甚しく憎んだ。
彼が朝帰って来る時の様子を見ると、何となく打ち沈んでいて、人と顔を合わすのを厭う風があり、いつも涙ぐんでいるので、大方通う所の女が心のまゝにならないのであろう、きっとそうに違いないと、上人を始め皆がそれにきめていた。
然るに、或る時上人が使を遣ってその男の跡をつけさせると、男は西坂本(江州の坂本ではなく、比叡山の西側の山麓、即ち現在の京都市左京区一乗寺辺)を下って蓮台野へ行くのであった。