定めし験があるであろうな、試しに此の粥を観じて見せよ、と云うと、男は折敷を取って粥の上に蓋をして、暫時眼を閉じて観念を凝らしていたが、やがて蓋を開けると、粥が悉く白い虫に化していた。
それを見た上人はさめ/″\と泣いて、必ず我を導き給えと、男に向って掌を合わせた。
―――以上が、「あやしの僧の宮づかひのひまに不浄観をこらす事」の説話であって、「閑居の友」の著者は此のあとに、「いとありがたく侍りける事にこそ」と云って、説明を加えて云うのに、愚かな者でも、塚のほとりに行って乱れ腐った死人のむくろを見れば観念が成就し易いと云うことは、天台大師も次第禅門と云う文に説いておられるくらいであるから、此の中間僧もそれを学んだのであろう。