「そんならお父さまは、あゝ云うものを見にいらっしゃるのは今夜が始めてゞはないんですね」
父の長話が一段落へ来た時に滋幹が尋ねると、父はいかにもそうだと云うように頷いて見せた。
父はもう数箇月も前から、折々月の明かな夜を選んで、家の者たちの寝静まった時刻をうかゞい、何処と限ったことはなく、野末の墓場などへ忍んで行ってひとしきり観念を凝らしてから、明け方にこっそり戻っていたのであった。
「そんならお父さまは、あゝ云うものを見にいらっしゃるのは今夜が始めてゞはないんですね」
父の長話が一段落へ来た時に滋幹が尋ねると、父はいかにもそうだと云うように頷いて見せた。
父はもう数箇月も前から、折々月の明かな夜を選んで、家の者たちの寝静まった時刻をうかゞい、何処と限ったことはなく、野末の墓場などへ忍んで行ってひとしきり観念を凝らしてから、明け方にこっそり戻っていたのであった。