「お父さま、お願いです、私の大好きなお母さまを汚さないで下さい」
と、話の途中で幾度か叫びたくなったのを、辛うじて怺えたのであった。
そう云うことがあってから十箇月ばかりを経、明くる年の夏の終りに父は此の世を去ったのであるが、最期の折には果して色慾の世界から解脱しきれていたであろうか。
「お父さま、お願いです、私の大好きなお母さまを汚さないで下さい」
と、話の途中で幾度か叫びたくなったのを、辛うじて怺えたのであった。
そう云うことがあってから十箇月ばかりを経、明くる年の夏の終りに父は此の世を去ったのであるが、最期の折には果して色慾の世界から解脱しきれていたであろうか。