当時は婦人の身長が一体に低かったようであるが彼女も身の丈が五尺に充たず顔や手足の道具が非常に小作りで繊細を極めていたという。
今日伝わっている春琴女が三十七歳の時の写真というものを見るのに、輪郭の整った瓜実顔に、一つ一つ可愛い指で摘まみ上げたような小柄な今にも消えてなくなりそうな柔かな目鼻がついている。
何分にも明治初年か慶応頃の撮影であるからところどころに星が出たりして遠い昔の記憶のごとくうすれているのでそのためにそう見えるのでもあろうが、その朦朧とした写真では大阪の富裕な町家の婦人らしい気品を認められる以外に、うつくしいけれどもこれという個性の閃めきがなく印象の稀薄な感じがする。