しかし佐助に聞いたらば様子が知れよう相手はきっと検校の門下生であろうと見当をつけたが佐助も知らぬ存ぜぬの一点張りで、自分の身に覚えのないのはもちろん誰といって心あたりもないと云う。
けれどもこの時御寮人の前へ呼ばれた佐助の態度がオドオドして胡散臭いのに不審が加わり問い詰めて行くと辻褄の合わないことが出て来て実はそれを申しましてはこいさんに叱られますからと泣き出してしまった。
いやいやこいさんを庇うのはよいが主人の云い付けをなぜ聴かぬ隠し立てをしてはかえってこいさんのためになりませぬ是非相手の名を云ってごらんと口を酸ッぱくしても云わぬそれでも結局のところ相手はやはり当の本人の佐助であることが言外に酌み取れた決して白状しませぬとこいさんに約束した手前を恐れて明瞭には云わないのだがそれを察してもらいたそうに云うのであった。