川はちょうどこの吉野山の麓あたりからやや打ち展けた平野に注ぐので、水勢の激しい渓流の趣が、「山なき国を流れけり」と云うのんびりとした姿に変りかけている。
そして上流の左の岸に上市の町が、うしろに山を背負い、前に水を控えたひとすじみちの街道に、屋根の低い、まだらに白壁の点綴する素朴な田舎家の集団を成しているのが見える。
私は今、その六田の橋の袂を素通りして、二股の道を左へ、いつも川下から眺めてばかりいた妹背山のある方へ取った。
川はちょうどこの吉野山の麓あたりからやや打ち展けた平野に注ぐので、水勢の激しい渓流の趣が、「山なき国を流れけり」と云うのんびりとした姿に変りかけている。
そして上流の左の岸に上市の町が、うしろに山を背負い、前に水を控えたひとすじみちの街道に、屋根の低い、まだらに白壁の点綴する素朴な田舎家の集団を成しているのが見える。
私は今、その六田の橋の袂を素通りして、二股の道を左へ、いつも川下から眺めてばかりいた妹背山のある方へ取った。