川を隔てて、こちらの岸の方のが妹山、向うの岸の方のが背山、―――妹背山婦女庭訓の作者は、恐らくここの実景に接してあの構想を得たのだろうが、まだこの辺の川幅は、芝居で見るよりも余裕があって、あれほど迫った渓流ではない。
仮りに両方の丘に久我之助の楼閣と雛鳥の楼閣があったとしても、あんな風に互に呼応することは出来なかったろう。
背山の方は、尾根がうしろの峰につづいて、形が整っていないけれども、妹山の方は全く独立した一つの円錐状の丘が、こんもりと緑葉樹の衣を着ている。
川を隔てて、こちらの岸の方のが妹山、向うの岸の方のが背山、―――妹背山婦女庭訓の作者は、恐らくここの実景に接してあの構想を得たのだろうが、まだこの辺の川幅は、芝居で見るよりも余裕があって、あれほど迫った渓流ではない。
仮りに両方の丘に久我之助の楼閣と雛鳥の楼閣があったとしても、あんな風に互に呼応することは出来なかったろう。
背山の方は、尾根がうしろの峰につづいて、形が整っていないけれども、妹山の方は全く独立した一つの円錐状の丘が、こんもりと緑葉樹の衣を着ている。