私たちがこの巻物を読む間、主人は一言の説明を加えるでもなく、黙って畏まっているだけであった。
が、心中何の疑いもなく、父祖伝来のこの記事の内容を頭から盲信しているらしい顔つきである。
「その、上人がお歌を書かれた振袖はどうされましたか」と尋ねると、先祖の時代に、静の菩提を弔うために村の西生寺と云う寺へ寄附したが、今は誰の手に渡ったか、寺にもなくなってしまったとのこと。
私たちがこの巻物を読む間、主人は一言の説明を加えるでもなく、黙って畏まっているだけであった。
が、心中何の疑いもなく、父祖伝来のこの記事の内容を頭から盲信しているらしい顔つきである。
「その、上人がお歌を書かれた振袖はどうされましたか」と尋ねると、先祖の時代に、静の菩提を弔うために村の西生寺と云う寺へ寄附したが、今は誰の手に渡ったか、寺にもなくなってしまったとのこと。