私たちはその橋の袂の岩の上に腰かけながらしばらくそんな話をした。
貝原益軒の和州巡覧記に、「宮滝は滝にあらず両方に大岩ありその間を吉野川ながるる也両岸は大なる岩なり岩の高さ五間ばかり屏風を立たるごとし両岸の間川の広さ三間ばかりせばき所に橋あり大河ここに至ってせばきゆえ河水甚深しその景絶妙也」とあるのが、ちょうど今私たちの休んでいるこの岩から見た景色であろう。
「里人岩飛とて岸の上より水底へ飛入て川下におよぎ出て人に見せ銭をとる也飛ときは両手を身にそえ両足をあわせて飛入水中に一丈ばかり入て両手をはれば浮み出るという」とあって、名所図会にはその岩飛びの図が出ているが、両岸の地勢、水の流れ、あの絵の示す通りである。