まして田舎も田舎、行きどまりの山奥に近い吉野郡の僻地であるから、たとい貧しい百姓家であってもわずか二代か三代の間にあとかたもなくなるようなことはあるまい。
津村はその期待に胸を躍らせつつ、晴れた十二月のある日の朝、上市から俥を雇って、今日私たちが歩いて来たこの街道を国栖へ急がせた。
そしてなつかしい村の人家が見え出したとき、何より先に彼の眼を惹いたのは、ここかしこの軒下に乾してある紙であった。
まして田舎も田舎、行きどまりの山奥に近い吉野郡の僻地であるから、たとい貧しい百姓家であってもわずか二代か三代の間にあとかたもなくなるようなことはあるまい。
津村はその期待に胸を躍らせつつ、晴れた十二月のある日の朝、上市から俥を雇って、今日私たちが歩いて来たこの街道を国栖へ急がせた。
そしてなつかしい村の人家が見え出したとき、何より先に彼の眼を惹いたのは、ここかしこの軒下に乾してある紙であった。