ようようのことで、「それならあそこかも知れない」と、とある駄菓子屋の奥から出て来た古老らしい人が縁先に立って指さしてくれたのは、街道の左側の、小高い段の上に見える一と棟の草屋根であった。
津村は車夫を菓子屋の店先に待たして置いて、往来からだらだらと半町ばかり引っ込んだ爪先上りの丘の路を、その草屋根の方へ登って行った。
めっきりと冷える朝ではあったが、そこはうしろになだらかな斜面を持った山を繞らした、風のあたらない、なごやかな日だまりになった一廓で三四軒の家がいずれも紙をすいていた。
ようようのことで、「それならあそこかも知れない」と、とある駄菓子屋の奥から出て来た古老らしい人が縁先に立って指さしてくれたのは、街道の左側の、小高い段の上に見える一と棟の草屋根であった。
津村は車夫を菓子屋の店先に待たして置いて、往来からだらだらと半町ばかり引っ込んだ爪先上りの丘の路を、その草屋根の方へ登って行った。
めっきりと冷える朝ではあったが、そこはうしろになだらかな斜面を持った山を繞らした、風のあたらない、なごやかな日だまりになった一廓で三四軒の家がいずれも紙をすいていた。