母家の右手に、納屋のような小屋が建っていて、そこの板敷の上に十七八になる娘がつくばいながら、米の研ぎ汁のような色をした水の中へ両手を漬けて、木の枠を篩ってはさっと掬い上げている。
枠の中の白い水が、蒸籠のように作ってある簾の底へ紙の形に沈澱すると、娘はそれを順繰りに板敷に並べては、やがてまた枠を水の中へ漬ける。
表へ向いた小屋の板戸が明いているので、津村はひと叢の野菊のすがれた垣根の外に彳みながら、見る間に二枚三枚と漉いて行く娘のあざやかな手際を眺めた。
母家の右手に、納屋のような小屋が建っていて、そこの板敷の上に十七八になる娘がつくばいながら、米の研ぎ汁のような色をした水の中へ両手を漬けて、木の枠を篩ってはさっと掬い上げている。
枠の中の白い水が、蒸籠のように作ってある簾の底へ紙の形に沈澱すると、娘はそれを順繰りに板敷に並べては、やがてまた枠を水の中へ漬ける。
表へ向いた小屋の板戸が明いているので、津村はひと叢の野菊のすがれた垣根の外に彳みながら、見る間に二枚三枚と漉いて行く娘のあざやかな手際を眺めた。