主婦は彼から来意を聞かされても、あまりその理由が唐突なのでしばらく遅疑する様子であったが、証拠の手紙を出して見せると、だんだん納得が行ったらしく、「わたしでは分りませんから、年寄に会って下さい」と、母家の奥にいた六十恰好の老媼を呼んだ。
それがあの手紙にある「おりと」―――津村の母の姉に当る婦人だったのである。
この老媼は彼の熱心な質問の前にオドオドしながら、もう消えかかった記憶の糸を手繰り手繰り歯の抜けた口から少しずつ語った。
主婦は彼から来意を聞かされても、あまりその理由が唐突なのでしばらく遅疑する様子であったが、証拠の手紙を出して見せると、だんだん納得が行ったらしく、「わたしでは分りませんから、年寄に会って下さい」と、母家の奥にいた六十恰好の老媼を呼んだ。
それがあの手紙にある「おりと」―――津村の母の姉に当る婦人だったのである。
この老媼は彼の熱心な質問の前にオドオドしながら、もう消えかかった記憶の糸を手繰り手繰り歯の抜けた口から少しずつ語った。