庭の稲荷の祠については守り神として代々祭って来たのであるから、若夫婦たちもその手紙にあるものに相違ないことを確かめてくれた。
もっとも現在では家族の内に狐を使う者はいない。
由松が子供の頃、お祖父さんがよくそんなことをしたと云う噂を聞いたが、「白狐の命婦之進」とやらはいつの代にか姿を現わさないようになり、祠のうしろにある椎の木の蔭にむかし狐が棲んでいた穴が残っているばかりで、そこへ案内をされた津村は、穴の入口に今は淋しく注連縄が渡してあるのを見た。
庭の稲荷の祠については守り神として代々祭って来たのであるから、若夫婦たちもその手紙にあるものに相違ないことを確かめてくれた。
もっとも現在では家族の内に狐を使う者はいない。
由松が子供の頃、お祖父さんがよくそんなことをしたと云う噂を聞いたが、「白狐の命婦之進」とやらはいつの代にか姿を現わさないようになり、祠のうしろにある椎の木の蔭にむかし狐が棲んでいた穴が残っているばかりで、そこへ案内をされた津村は、穴の入口に今は淋しく注連縄が渡してあるのを見た。