それにそのころはまだ三味線がいまのようにひろまってはおりませんで、ものずきな人がぽつ/\けいこをするというくらいでござりましたから、そのめずらしい糸のねいろがお気に召したのでござりましょう。
さようでござります、わたくし、このみちをおぼえましたのは、べつにさだまった師しょうについたのではござりませぬ。
どういうものか生来おんぎょくをきくことをこのみ、きけばじきにそのふしを取って、おそわらずともしぜんにうたいかなでるという風でござりまして、しゃみせんなぞもたゞおり/\のなぐさみにもてあそんでおりましたのが、いつしか身についた能となったのでござります。