「これ、これ、そなたはいちばんとしかさのくせに泣くということがありますか、かね/″\云うてきかせたのはこゝのことではありませぬか」と、おくがたはこんなときにも取りみだした御様子がなく、しっかりしたおこえでお茶々どのをお叱りになって、嫡男万福丸どのゝ乳母をお呼びになりまして、「さあ、和子から先にしょうこうをするのですよ」と仰っしゃるのです。
それでいちばんに万福丸どの、二ばんには当歳の若が御焼香をすまされますと、「お茶々、そなたの番ですよ」と仰せられましたが、
「いや、姫よりもそなたはなぜしないのだ」と、ながまさ公がきっとなって仰せられるのでした。