そんなことから秀よし公は御前のしゅびがわるくなりまして、だん/\遠のかれましたのでござります。
さて信長公はわずかのあいだに数箇国をきりなびけられ、こと/″\くわがりょうぶんにくわえられまして、しょうしへの御ほうび、こうにんのおしおきなど、それ/″\御さたあそばされ、九がつ九日にはもはや岐阜のおしろにおいて菊の節句をおいわいあそばされました。
重陽のえんはまいねんのことでござりますけれども、べっしてそのみぎりは大小名がよそおいをこらしてお礼にまいられ、ごんごどうだんのぎしきのありさま、めをおどろかすばかりであったともっぱらのうわさでござりました。